プロに学ぶ、環境にやさしい服作り。TOKYOエシカル ファッションチャレンジをレポート<後編>

私たちが日々着ている洋服をテーマに、中高生が実際にウェアの制作をしながら商品ができていく過程が人や環境にやさしいものになっているかを学び、考え、発信する「TOKYOエシカル ファッションチャレンジ」。プロのデザイナーと一緒に、全8回のワークショップを通して、エシカルファッションの制作工程を知り、実際にコンセプト開発からデザイン制作、製品の広め方までを体験して、人や環境にやさしいウェアを制作します。

2024年8月20日(火)に開催された2回目のワークショップでは、企業のエシカルな取り組みや、ウェア作成に使用する素材について学ぶとともに、制作するファッションのコンセプトを考えました。<後編>

※本記事は前後編の2部構成です。

前編はこちら

 

グループごとにコンセプトを検討

デザインの考え方について学んだところで、いよいよ本日のグループワークがスタート。3つのグループに分かれて、エシカルファッションのコンセプトを決めていきます。

ワークシートを確認する学生たち

始めに1回目のワークショップで各自が考えた、「エシカルといったらどんな色や形、言葉を想像するか」をグループ内で共有していきます。

はじめこそぎこちなさを感じる場面もありましたが、坂口さんや一法師さんを始めとするスタッフも関わりながら取り組んでいくことで、徐々に会話が増え、コミュニケーションが活発になっていきます。

グループワークに取り組む学生たち

次に、「エシカルファッションで何を伝えたいか」「どういうテーマでデザインを発表したいか」を一人一人考え、グループ内で共通項を書き出します。そうして集約されたワードをグループごとに発表しました。

コンセプトを発表するグループ1の代表者

グループ1の提案するコンセプトは、「フォーマルとカジュアルの二刀流」。

投手と打者を高いレベルで両立する大谷選手を意識したそうです。具体的には「制服と普段着、どちらも使える。制服のシャツはズボンにインするように作られているので、インせずに出しても使える服」というアイデア。社会人ならオフィスでも会社帰りでも使えるなど、シーンレスに活躍するファッションを想定しています。

 

コンセプトを発表するグループ2の代表者

続いてグループ2のコンセプトは、「着心地が良くてボーダレス」。

生地の通気性や伸縮性、ポケットの有無や丈の長さにこだわることで、着心地の良さを実現。快適さを追求することで、長く使用してもらえるファッションを目指します。さらにアイテムのシルエットについて、「体にフィットする服は体型が変化すると着用できなくなるのに対し、オーバーサイズなら体型の変化を気にせず長期間着られる」と発表しました。

 

コンセプトを発表するグループ3の代表者

グループ3のコンセプトは、「着回しができ、長く着られる」。

ポケットの色や形を好きなものにできるなど、ユーザー自身がデザインをカスタムすることで、愛着が沸き長く使えるという発想です。また、服そのもののデザインはシンプルにして、そこに直接絵やサインを描くことで、着る人の個性を尊重し多様性を表現する案も出たそうです。

 

各グループのコンセプトが書き出されたホワイトボード

各グループの発表を聞いたところで、ワークショップは終了。今回出たコンセプトを元に、次回のワークショップでどうデザインに落とし込むかを考えていきます。

 

エシカルファッションについて学び、身近に感じるきっかけに

ワークショップ終了後、参加者からは「これまでエシカルファッションは、自分とあまり関係のない話だと思っていた。でも今回のグループワークでデザインについて話し合ったときに、思ったより身近なものなのかもしれないと感じました」「今までエシカルについては、ぼんやりとしたイメージしかなかった。今日教えてもらった内容は難しかったが、エシカルについてきちんと考えることができて良かった」と、エシカルに対する認識を見直すきっかけになったという感想が寄せられました。

ワークショップの感想を話す参加者

また、「もともと服飾系の仕事に興味があり参加した。ここで学んで、今後は自分がエシカルやファッションについて発信できるようにしていきたい」「将来は衣服や環境に関する分野に進んでいきたいので、服との向き合い方の参考にしていきたい」など、ワークショップで得た学びを活かす方法についても教えてくれました。

プロとの共同作業で、エシカルな製品のコンセプトを考え出した今回の「TOKYOエシカル ファッションチャレンジ」。ファッション業界が抱える問題点や、企業のエシカルな取り組みを学んだり、グループワークで自分の意見を発表したりと、新たな発見や気付きに満ちた時間となりました。

制作したエシカルウェアは今後に開催されるTOKYOエシカルカンファレンスで発表予定です。TOKYOエシカルでは、今後もエシカルな商品や行動がより身近に感じられるよう、学びを深める機会を提供していきます。

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