【東日本旅客鉄道】食品廃棄物から電力と農業へ。駅から広がる『ダブルリサイクルループ』
駅ビルやエキナカの飲食店などから日々排出される食品廃棄物。それらを「捨てるもの」ではなく資源として捉え、電力と農業の二つの形で再資源化する取組が、JR東日本グループの『ダブルリサイクルループ』です。生まれた電力や、肥料を使って育てた農産物を再び駅や商業施設などで活用する循環は、どのように生まれたのでしょうか。
今回は、東日本旅客鉄道株式会社が担う役割や、駅という身近な場所から資源循環を広げる意義について、経営企画部の神谷葵さんに伺いました。
食品廃棄物から始まる、二つの循環
駅ビルやエキナカの飲食店などから発生する食品廃棄物には、飲食店の調理時に出る残渣や食べ残し、コンビニエンスストアの廃棄商品などがあります。こうした食品廃棄物には、調理・加工後のものも多く、塩分や油分を含んでいたり、爪楊枝や包装材などの異物が混ざっていたりすることもあり、そのまま肥料や飼料としてリサイクルするのは容易ではありません。そのため、以前は焼却処分するケースも多くありました。
そこで、JR東日本グループでは、2018年から食品リサイクル事業を展開する株式会社Jバイオフードリサイクル(以下、Jバイオ)と連携して、食品廃棄物のリサイクルを進めてきました。
「Jバイオでは、食品廃棄物を機械で粉砕し、有機物と包装材などの異物を分離できます。そのため、排出者側の分別にかかる負担を一定程度抑えながらリサイクルできることも大きなポイントです」
分離した食品廃棄物をメタン発酵させ、そこから生まれたバイオガスは発電に、発酵後に残る残渣は肥料として農業に活用します。このように、駅ビルやエキナカなどから排出される食品廃棄物から「電力」と「農業」という二つの循環を生み出すのが『ダブルリサイクルループ』です。
循環を動かす、東日本旅客鉄道の役割
『ダブルリサイクルループ』では、食品廃棄物の収集・運搬や電力の供給、農産物の販売・提供など、グループ各社がそれぞれの役割を担っています。
その中で東日本旅客鉄道は、Jバイオへの出資に加え、グループ全体の資源循環を推進。グループ会社とJバイオとの橋渡し役として、課題の解決策を提案したり、それぞれが持つ強みを生かせるよう、情報共有や調整を行っています。
こうした連携の代表的な事例が、JR藤沢駅に直結する商業施設「リエール藤沢」での取組です。施設から出た食品廃棄物をJバイオでリサイクルし、2024年12月以降、食品廃棄物由来の電力を含む実質再生可能エネルギー(※)電力を、リエール藤沢で使用しています。
※食品廃棄物由来以外の電力も含め実質再エネ100%
さらに2026年2月には、Jバイオで作られた肥料を使って藤沢市内で育てられた野菜を、再びリエール藤沢の複数の飲食店で期間限定メニューとして提供したほか、マルシェでも販売しました。
「リエール藤沢では、電力と農業の二つの循環を一つの施設で実現できたことが大きな特徴です。こうした二つの取組が同じ施設の中でつながったのは、リエール藤沢が初めてでした。農家の方からも、『消費者に直接取組を伝えられる良い機会になった』という声をもらっています」
駅から広がる、循環のある暮らし
『ダブルリサイクルループ』の取組は、食品廃棄物を再資源化する仕組みをつくるだけでは完結しません。その循環を広げていくには、駅や商業施設を利用する人が取組を知り、資源循環について考えるきっかけをつくることも大切だと神谷さんは話します。
「普段利用している駅や商業施設で、食品廃棄物が電力や農産物につながっていると知ることが、まず一つのきっかけになると思っています。そこから自分で考えたり行動したりする人が少しずつ増えていったら嬉しいですね。また、資源循環を継続していくうえでは、消費者や農家、グループ会社など、誰か一人に負担が偏らないことも重要です。まずは一つひとつ実績を積み重ね、それぞれが無理なく参加できる形で取組を広げていきたいです」
こうした「多くの人とともに進める」という考え方は、TOKYOエシカルが掲げる理念にも通じています。JR東日本グループには、東日本旅客鉄道のほかにもTOKYOエシカルに参画するグループ会社があり、神谷さんはさまざまなパートナーとの連携にも期待を寄せています。
「資源循環を進めるためには、私たちだけではなく、グループ会社やほかの企業、地域社会の皆さま、そして消費者の皆さまの理解や協力が必要です。TOKYOエシカルのパートナーとも連携しながら、資源循環の意義や価値を知っていただき、共感していただけるような機会をつくっていけたらと思っています」
神谷さんが目指すのは、エシカルな商品やサービスがもっと身近になり、「選びたい」と思ったときに、無理なく選べる未来です。そのためには、消費者に選択を委ねるだけでなく、企業側もそうした選択肢を増やしていくことが大切だといいます。
「こうした背景を知ったうえで商品やサービスを選ぶことが、特別なことではなく、自然な選択肢の一つになっていく。それが理想だと思っています」
東日本旅客鉄道株式会社
https://www.jreast.co.jp/company/
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