Ethical Entertainment& Stories: 読み継ぐ豊かさを描いた話題のコミック『本なら売るほど』

エシカルは「学ぶ」より、まず「感じる」もの。この連載では、映画や書籍などの物語を通して、日々の選択にやさしく目を向けます。第2回は、代官山 蔦屋書店のコンシェルジュ瀬野尾真紀さんおすすめのコミック『本なら売るほど』を紹介しま 

古書店がつなぐ、本の循環

本が好きな人にとって、読みたい本をどうやって手に入れ、読み終わった本をどうするかは大きなテーマ。その選択肢のひとつに古書店があります。読みたい本を古書店で購入し、読み終わった本を古書店に引き取ってもらうことで、本は循環します。古書店は、そんな本の循環を支える場所であり、エシカルな選択を身近に感じられる場なのです。 

この漫画は、古書店「古本十月堂」の店主とそこに通う人たちとの交流を描いた物語。店主は、先輩古書店店主から「ここにあるすべての本は歴戦のサバイバーなんだから」と言われます。人の手を渡りながら生き残ってきた本たちは、どのような運命を生き抜いてきたのでしょうか。そこには、本というモノの消費について考えさせられる18のエピソードが描かれています。

一冊でも多く、次の誰かへ

作中では、亡くなった人が大切にしていた蔵書の買い取りを依頼された店主が、その人がどのような想いで本を大切にしてきたのかを感じ取りながら、一冊一冊を丁寧に見つめ、本を選んでいく場面があります。その中には、店主自身も心を動かされた一冊も含まれていました。 
後日、その本は新たな読者の手に渡ります。本は読み終えたら役目を終えるものではなく、古書店を通して次の誰かへと受け継がれ、新たな出会いを生み出していきます。この作品は、古書店という存在が本の循環を支え、人と本をつないでいることを教えてくれます。  

古書店が支える、本の循環

『本なら売るほど』では、本を手放す人、受け継ぐ人、そして本を次の誰かへ届ける古書店、それぞれの立場から本の循環が描かれています。店主は、本に込められた持ち主の想いも受け止めながら、新たな読み手へとつないでいきます。そうした古書店の営みは、「今あるものを大切に生かし、次へ受け継ぐ」というエシカルな考え方につながっています。 
この作品は、古書店という存在を通して、本を読み終えたその先にも新たな価値が生まれること、そして「次の誰かへつなぐ」という選択肢があることに気づかせてくれる一冊です。 

 
『本なら売るほど』(全3巻既刊・2026年7月現在) 
児島青著 
KADOKAWA刊 
1巻:ISBN 978-4047381070 
2巻:ISBN 978-4047383746 
3巻:ISBN 978-4045000096 
 
プロフィール 

紹介者/瀬野尾真紀(代官山 蔦屋書店コンシェルジュ) 
本と人をつなぐ企画やイベントを通じて、多くのクリエイターや読者との出会いを育む。「今、まさに頑張る」作り手を応援するほか、書店・古書店・出版社が垣根を越えて本の魅力を伝える「えほん博」(2026年11月7日・8日開催予定)をプロデュース。 

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