服の“その後”までをデザインする、 ライフスタイルブランド「ENSULO」が描く未来

大切なお気に入りの服が、その役目を終えた後のことを想像したことはありますか

長年アパレル業界の第一線で活躍する中で、大量生産・大量廃棄のシステムに疑問を抱いていたグラファイト株式会社の代表・岡部健史さんは、2025年にライフスタイルブランド「ENSULO(エンスーロ)」をスタート。服を“消費されるもの”ではなく“循環するもの”と捉え、土に還る新素材を用いて、心と体を整える時間に寄り添うリトリートウェアを展開するほか、回収した服を堆肥化し、野菜綿花へと生まれ変わらせる取り組みも行っています。 

※今回の取材撮影は、2026年5月に代官山 蔦屋書店で開催されたポップアップイベントの会場で行いました。(現在はオンラインのみでの販売です) 

アパレル業界の課題から生まれたブランド

大手アパレル企業や繊維商社でキャリアを積んできた岡部さんは、長年ファッション業界に身を置きながら、常に葛藤をいだいていました。「大量に作られ、売れ残ったものが廃棄されてしまう問題をどう解決すればいいのだろうか」  

フランスをはじめヨーロッパの国々では売れ残った衣類の廃棄を抑える動きが広がっています。岡部さんも、服を“消費されるもの”として終わらせず、“循環するもの”にできないかと考えていました。そんな矢先に、ピエクレックスという画期的な素材に出合います。水とCO₂に分解され、土に還るというその性質を知り、“出口”まで設計されたブランドを作ろうと決意。2025年4月、自ら興した会社で「ENSULO」をローンチしました。ブランド名には、人との「縁(EN)」、Soul()から「SU」、Loom(織機、織る)から「LO」を取り、「人との縁を紡いで循環させたい」という想いが込められています。 

服が野菜を育む

「ENSULO」のものづくりの根幹を支えているのが、村田製作所グループのピエクレックス社が開発した新素材エクレックスです。原料であるポリ乳酸は、トウモロコシやサトウキビなどの植物由来原料から生まれたバイオプラスチック。生分解性を持ち、環境負荷の少ない素材として注目されています。また、ポリ乳酸は微弱な電気を発生させる性質があり、人が動くことで発生した微弱な電気によって抗菌効果を発揮するのも特徴です。 

※ピエクレックス社独自の評価試験により、素材特性として確認しています。使用環境や条件により効果は異なります。 

さらに「ENSULO」は服を作って売るだけでなく、不要になった製品を回収・堆肥化するピエクレックス社の循環システム、P-FACTS(ピーファクツ)に参画しています。回収された服は堆肥となり、提携する農園で野菜や綿花などを育てるために生かされます。服が土に還り、そこからまた新たな命が育まれるのです。 

心地よいデザインと環境配慮を両立

最終的に土に還すことを前提としているため、「ENSULO」の服作りには生地だけでなく付属品にも細やかな配慮があります。 

「服全体が自然に還ることを目指して、生分解性糸を用いた縫製や、ゴムの代わりに紐を使うなど、自然素材を生かした服作りの手法も取り入れています。使える素材は限られますが、派手さや完璧さを求めすぎず、余白や素朴さの中にある味わいを大切にする侘び寂びの美意識を生かしながら、日常の暮らしに心地よくなじむデザインに仕立てています」 

未来を変える循環の輪

「ENSULO」の挑戦は、ウェアの展開にとどまりません。コンポスト施設を運営する農園と連携し、服からできた堆肥で育てた野菜を使った料理を提供するポップアップイベントを開催することで、コミュニティの輪も広げています。 

また岡部さんは、服の循環の考え方に賛同してくれるブランドを増やし、参加する人や企業の輪を広げていくこと、そして一つの地域内で循環が完結できるようにするという未来を描いています。 

「最終的には、一つの地域で堆肥から野菜を作り、循環をテーマにしたホテルを併設した小さな村のような場所をつくりたいです。そこには補修施設もあって、服を使い続けられる仕組みがあるような、そんな循環システムを実現したいですね」 

私たちが明日から始められる行動について尋ねると、岡部さんは力を込めてこう言いました。「まずは買う前に1秒だけ、その服のその後を想像してみてほしいのです」

グラファイト株式会社
https://graphitejp.com/

ENSULO
https://graphitejp.com/works/ensulo/

 

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