合同会社monc.の代表が語る「切って使える子ども服」と無理しないエコライフの始め方
「エコライフというと、便利なものを使うのを控えて手間が増えると思われがちですが、実は小さな工夫の積み重ねることで、楽しみながら実践できることなんです」
そう語るのは、合同会社monc.の代表で、オーガニックコットン子ども服ブランド「0123sies(サンジー)」を手がける床川 咲子(とこかわ さきこ)さん。
息子さんの誕生をきっかけに「切って使える子ども服を作る」というユニークな挑戦を始め、今や多くのママたちの注目を集めている床川さん。その原点は、妊娠中に感じた小さな気づきでした。
今回の取材では、床川さんが子ども服を作るにあたって実践しているエシカルな工夫や、ご自身が実践するエコライフの秘訣をお聞きしました。
ママの想いから生まれたブランドストーリー
妊娠していた時期にベビー服に興味を持ったとき「もっとおしゃれで機能的なものが作れるのではないか」と考えた床川さん。自分の好きな服を長く着られるように「工夫すること」が得意だったこともあり、アイデアと得意分野を掛け合わせた結果、ベビー服ブランドの立ち上げに至ったといいます。
アパレルメーカーでの経験も活かし、「私たち日本人にも似合う配色やデザイン」を意識して商品開発をスタート。
ブランド名の「0123sies(サンジー)」は、0歳から3歳までの年齢を指し、上下一体型の服である英単語「onesies(ワンジー)」と掛け合わせた造語。そこには、「子育て中もハッピーに過ごせるように」という想いが込められています。
革新的な商品設計「切って使える子ども服」
サンジーの最大の特徴は、ロンパース(トップスとボトムスがつながった衣服)をハサミで切ることにより、Tシャツとしても着られるようになる設計です。
「サイズ70のロンパースとサイズ80のTシャツを重ねたとき、上半分のサイズが同じだと気づいたんです。そこから『ハサミで切ればサイズ80としても使える』という発想に至りました」床川さんは振り返ります。
この発想の背景には、ご主人の友人が洋服をアート作品に作り変えた話を聞いて以来「洋服で何か作れたらいいのに」という想いがあったそう。
「切ったあともTシャツとして、美しい形が保てるベビー服を作りたかったんです」と語る床川さん。
現在では、ユニセックスな配色と流行に左右されないデザインを心がけることで、長く愛用できるベビー服作りを行いつつ、ギフトボックスを身長計として使える設計にするなどユニークな工夫を取り入れています。
人生を変えた3つの出会いと気づき
床川さんが子ども服ブランドを立ち上げるまでには、環境意識を育んだ3つの重要な出会いと気づきがありました。
① イギリス文化から学んだ「ものを大切にする」精神
床川さんの環境意識に大きな影響を与えたのは、イギリスでの生活でした。
「イギリスの方や文化に接する中で、エシカルなライフスタイルがあると気づいたんです。留学中のホームステイ先では使い捨て製品がほとんどなく、何度も使えるキッチン用品を使用したり、男性も裁縫してリペアしたり…」と床川さんは新たな発見を振り返っていました。
② 環境問題に真剣に向き合う友人との出会い
床川さんが環境問題に目覚めたきっかけは、イギリス出身の友人ヘレンさんとの出会い。ヘレンさんは環境やアニマルウェルフェアへの意識が高く、大手コーヒーチェーン店の紙ストローを導入した際も「リサイクルしにくいストローの使用について、あなたはどう思う?」と問いかけてきたといいます。
しかし、床川さんがヘレンさんから最も感銘を受けたのは、自分の価値観を相手に押し付けない姿勢。「その姿勢こそがやさしさだと感じました」と床川さんは語り、この出会いが、今日のサンジーで価値観の根幹となっています。
③ 息子さんの誕生がもたらした母性と使命感
2021年に息子さんを出産し、母親になったことで「人生がガラリと変わった」という床川さん。
翌年夏にイギリスへ帰省した際「ヨーロッパで山火事が発生してとても暑い夏になり、普段エアコンを使わずに生活できるイギリスでも『エアコンがないと危険』なほどの異常気象になりました。このままでは自分の子どもの未来が明るくないと感じたんです」と当時の心境を語りつつ、この出来事が自身の環境意識をより強くしたといいます。
これら3つのきっかけが、ブランドを立ち上げるきっかけにつながったのです。
誰でも始められる「環境にも自分にもやさしい選択」
床川さんは2018年頃からSDGsに関心を持ち、身の回りのものを「長く使う」だけでなく、環境に配慮したものを「少しずつ取り入れる」ことを通じて、エコな暮らしと、自分自身や身の回りのものを大切にする選択をはじめました。
例えば、キッチンではラップやペーパー類といった使い捨て製品を控え、食器なども長く使えるものを選び、自然素材の洗剤を愛用。また、衣類は「10年着続けられるか」を基準に、流行に左右されないデザインを選択しているといいます。
床川さんがエコ生活を継続できている秘訣は、「一度に全てを変えず、長期的に見て一つずつ買い替える」という無理のない「スモールステップ」にあります。忙しいママ世代に向けては、「新しいものをそろえるより、今あるものを長く使うこと。使い捨て製品の見直しから始めてみるといいかもしれないですね」と提案していました。
「Less but Better」で目指す未来
サンジーの「Less but Better(より少なく、より良いものを。)」というコンセプトには、エコを特別なことではなく、日常の選択肢として捉えてほしいという願いが込められています。
特に妊娠・出産期は「オーガニックコットン製品に興味関心が高まる絶好の機会」、「エコというと、何をしたらいいかわからないと、ちょっとネガティブに考えがちです。でも、サンジーのオーガニックコットンなのに、かわいい長く使える服で、子どもたちの未来と地球を考えるきっかけを作りたいんです」と語ります。
「目の前の楽しさや喜び、デザインと着心地の良さが先にあって、その次にオーガニックコットン使用や長く使えるなど環境への配慮がある商品を選ぶ――。
エコ活は、完璧を求めないことが続けられる秘訣な気がしています。一人ひとりの小さな選択が次世代へつながっている。こどものしあわせを願うママやパパになら伝わるはず!と信じています。」
床川さんはそう願いながら、子どもと環境にそっと寄り添う一着を今日も生み出しています。
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