厳選された40のマーケットでエシカルマインドを育む。「森の市」をレポート。

ビジネスパーソンが行き交う都心部、大手町。ここには、豊かな緑を蓄え人々を癒す「大手町の森」があります。その自然を肌で感じながら、エシカルなライフスタイルを体感できるイベント「森の市(主催:東京建物株式会社)」が、2024年10月24日(木)〜26日(土)に開催されました。

「森の市」では、選び抜かれた40のマーケットが立ち並び、商品や人と触れ合うことで自分自身と向き合うことができます。今回は、マーケットに出店する4つの店舗を取材し、エシカルな視点から「森の市」の魅力に迫ってみました。

 

ビジネスパーソンが自分と向き合える空間

連絡通路に面した地下のマーケットエリア

森の市は、エシカルな商品を提供する40店舗が大手町タワーに集う、マーケットイベントです。地上では森に迷い込んだかのような感覚で飲食ブースを楽しむことができ、地下に下りるとワークショップをはじめ、食やファッション、美容などさまざまなジャンルの商品や人の思いに触れ合えます。

東京メトロの連絡通路でもある都会の要所で開催される同イベントは、日々忙しなく生活している人たちが普段の自分にはない気づきやときめきを得られ、自分と向き合える特別な空間です。

また、イベントに出店する店舗にとっても、森の市はいろいろな人との接点を持ち、認知拡大を図る絶好の場といえます。

 

循環する暮らしをえらぶラボ【ELAB】

ELABは、生産者との関係を大切にしながら、環境やアニマルウェルフェアに配慮した食材を使用した商品を提供しています。今回ピックアップしたのは「トレイベイク」。型を使わず天板の上で薄く焼くイギリスのケーキで、素材の可能性を知ってもらうため、具材をあえてごろっと表面にのせているのだそう。素材そのものの旨味を楽しむことができます。

ELABで販売する身体に優しいスイーツや雑貨(トレイベイクは左下)

ELABでは、「おいしい」や「かわいい」といった感覚が最初にあるべき、という考えから、環境にいいことやサステナブルである点を全面に押し出すことはしていません。「どんな味なんだろう?」と気になり、手に取る。その結果、たまたま環境にいい選択をしていた。それが、ELABが掲げる理想であり、提供している商品です。

 

自転車でサステナブルコーヒーを提供【GOOD COFFEE FARMS】

水、電気、燃料を必要としない自転車動力の機器、パルパー。これを利用し、農家や消費者だけでなく、地球に優しいコーヒーを提供しているのがGOOD COFFEE FARMSです。「コーヒー産業の背景を伝えたい」。そんな思いから、当イベントへの出店を決めました。

GOOD COFFEE FARMSで販売するコーヒーのドリップバッグや紅茶

売れ筋商品の一つである「コーヒーチェリーティー」は、コーヒーを作る過程で捨てられてしまう果皮を紅茶にした、アップサイクル商品。コーヒーチェリーの果皮は山積みのゴミとなり、腐敗した果汁が川に流れ水源汚染を引き起こしています。そのような問題を解消したこの商品は環境に優しいのはもちろんのこと、ポリフェノールやビタミンが豊富で、カフェインをほとんど含んでいないことから身体にも優しいといいます。また、コーヒー農家の新たな収入源にもなり、環境と人に配慮されたまさにエシカルな商品です。

 

どこか懐かしい、永く愛されるスリッパを製作【CLOAKROOMS】

CLOAKROOMSが手がけるのは、どこか懐かしいフォルムのスリッパ。以前は体育館や歯科医院で見かけたビニールスリッパは、今となっては徐々に姿を消しつつあります。同社の製品であるPANTOUFLE(パントゥフル)は、そんなビニールスリッパの形状は変えずに、デザインを加えることで、長く使いたくなるように仕上げられた環境に優しいスリッパです。

CLOAKROOMSで販売している個性豊かなスリッパ

素材にはEUの厳しい規制に基づいたビニールレザーを使用し、アルコールや次亜塩素酸で拭くことで清潔を保ちやすいのが特徴。長く履いてもらうためにロングデザインを意識し、「懐かしい」感覚を大切にしています。

日本発祥であるスリッパが、昔ながらの形を保ちながら「文化」としてそこにあることで、話題作りにもつながります。豊富な種類から、お気に入りの一足がきっと見つかるはず。

 

アップサイクルでかわいいものを届けたい【MarinaKarna】

「まずは自分が楽しみ、心地よいと思えるものを。消費者のみなさんにも、直感や好奇心を大切にしてもらいたい」。そんな思いでMarinaKarnaが一足一足丁寧に製作しているのが、鮮やかなカラーが特徴の足袋や靴下「SOKUSEKI SOX」です。本来は衣類や他の製品用に作られた生地を活用しているため、環境に優しく、コットンやウールなど素材選びにもこだわっています。

MarinaKarnaで販売する彩り豊かな足袋や靴下

なかでも足袋は、一般的なものより低価格なうえ、男女問わず着用できるようサイズ展開も豊富。デザイン性もあり、気軽に遊び心をプラスできます。「これからもそのときある生地で、かわいいものをつくっていきたい」そんな想いがあるそう。

 

心が潤う空間でエシカルな選択を体感しよう

大手町の森(出典:大手町の森 生態系ギャラリー「FOREST 森」

都会の喧騒のなかで、ふらっと気軽に立ち寄り、森で深呼吸をする。飲食を楽しみつつ、地下に下りれば普段は馴染みのない新しい出会いが待っている。「森の市」はエシカルな選択を体感しながら、どこか新しい自分に出会えるような空間でした。

みなさんも地球や環境に優しく、そのうえで心が豊かになれる場所に足を運んでみてはいかがでしょうか。

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