エシカルに日本の伝統とものづくり技術をつないでいく【株式会社和える・株式会社宮本卯之助商店】
「使っては、捨てる」という大量消費が行われる現代では、日本古来から伝わる伝統やものづくり技術の温かみに目を向ける機会が少なくなってきました。そんななか、人や環境、社会にとってよりよい消費行動であるエシカル消費を促しながら伝統を伝え、自然の循環に寄り添う企業があります。
今回は、TOKYOエシカルのパートナー企業・団体から、エシカルな取り組みで日本のものづくりを支える2社をご紹介します。
1. 株式会社和える
“0歳からの伝統ブランドaeru”
子どもたちに日本を贈り、伝統をつなぎたい
「株式会社和える」の社名には、「日本の伝統や先人の智慧」と「今を生きる私たちの感性」を和えることで、より魅力的な日本を次世代につなぎたい、そんな願いが表現されています。
“0歳からの伝統ブランドaeru”では、日本各地の伝統産業職人が手がけた「生まれたときから大人になっても使える」オリジナルの日用品を製作。
モノがたくさん溢れている世の中において、モノをより長く大切に扱う日本の心を届けたいという思いが込められています。
きっかけは、「日本の伝統を知る機会がない」と気づいたこと
株式会社和えるの『徳島県から 本藍染の 出産祝いセット』
製作のきっかけは、代表取締役・矢島里佳さんが19歳のときに出逢った、先人から伝わる日本のものづくり技術と、それを受け継ぐ職人たちでした。
矢島さんは、日本の伝統産業が衰退しているといわれるのは、そもそも日本の伝統を知る機会がないからではないかと考えたそうです。
「赤ちゃん子どもの頃から、日常の中で自然と、伝統産業品を使う機会を生み出すことが、伝統産業の魅力を継承していくことにつながる」
株式会社和えるでは他にも、日本の伝統を伝えることを主軸に、伝統とさまざまな事柄を掛け合わせたあらゆる事業を展開しています。
2. 株式会社宮本卯之助商店
自然の循環に寄り添う「森をつくる太鼓」
株式会社宮本卯之助商店の「森をつくる太鼓」
東京都は総面積の4割が森林に覆われています。その森林の多くは、戦後に植林されたのちに放置された人工林です。株式会社宮本卯之助商店では、そんな人工林に命を吹き込むべく、サステナブルな取り組みを行っています。
「東京発」へのこだわりから生まれたのが、「森をつくる太鼓」です。東京のスギを使い、東京の職人が製作を手がけています。
「自然と人を繋ぐサステナブルな楽器づくりにより、アートと環境を豊かにする循環型社会を提案し、豊かな自然と文化が生い茂る未来に貢献したい」
「森をつくる太鼓」には、そんな願いが込められています。
注目したのは、太鼓になれなかった曲線たち
「The Curve」プロジェクトで製作された「Re-Taiko Stool」
株式会社宮本卯之助商店は、製作過程で割れや欠けが生じ、太鼓になれなかった木材に焦点をあてたプロジェクト「The Curve」にも取り組んでいます。かつては廃棄したこともありましたが、木材の美しい曲線に変わりはありません。
「太鼓になれずとも、別のものになれるのでは?」
こうして、職人技とアイデアを掛け合わせることで、スツールやチェアなどの製品を生み出すことに成功しました。
また、宮本卯之助商店では、時代の変化とともに継承が難しくなっていく日本伝統の技を大切にしています。例えば、鉋掛け。曲面をなめらかに仕上げるこの技は、製品を通して未来まで伝わる日本の宝の一つでしょう。
今回は、日本の伝統とものづくり技術を活かしてエシカル消費を推進する、「株式会社和える」と「株式会社宮本卯之助商店」の取り組みをご紹介しました。
日本がこれまで大切にしてきた伝統に子どもの頃から触れることで、次世代につないでいくこと。自然と共生し、今ある木材に職人技を掛け合わせることで環境や文化を豊かにすること。どちらも人や環境に優しい、エシカルな取り組みです。
みなさんも改めて日本の伝統や職人技に触れ、その温かみを手に感じ取ってみてはいかがでしょうか。