エシカル消費を「知ってもらい、選んでもらう」には? 「第1回TOKYOエシカルカンファレンス」実施レポート
約300のパートナー企業・団体が参画するTOKYOエシカルでは、東京都と企業・団体が連携しながら、エシカル消費の普及と実践を推進しています。2026年6月25日(木)には、江戸東京博物館にて、TOKYOエシカルパートナー企業・団体を対象とした「第1回TOKYOエシカルカンファレンス」が開催されました。
本カンファレンスでは、「消費者にエシカル消費を知ってもらい、実際の行動につなげること」をテーマに、第一線で活躍する有識者や実践者によるパネルディスカッションや、パートナー同士の交流会が行われました。本記事では、パネルディスカッションで共有された実践事例や会場参加型で行われたミニワークを中心に、TOKYOエシカルだからこそ生まれる学びやパートナー同士の共創の魅力をレポートします。
古屋留美 東京都生活文化局長
カンファレンス冒頭では、東京都生活文化局の古屋留美局長が主催者挨拶を行いました。会場となった江戸東京博物館にちなみ、江戸の町に根付いていた「モノを最後まで使い切る文化」が現在のエシカル消費に通じるものがあることに触れ、エシカルな行動は特別なものではなく、私たちの暮らしの中に根付く価値観であると語りました。
生活者に届くエシカル消費の伝え方とは?
(写真左から)一般社団法人エシカル協会代表理事 末吉里花氏、株式会社Gab 代表取締役CEO 山内萌斗氏、ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社 営業本部 ショッパーマーケティングエグゼクティブ 繁田知延氏
パネルディスカッションでは、「エシカル実践の壁と突破口」をテーマに、TOKYOエシカルアドバイザーの坂口真生氏がファシリテーターを務め、同じくTOKYOエシカルアドバイザーで一般社団法人エシカル協会代表理事の末吉里花氏、株式会社Gab 代表取締役CEOの山内萌斗氏、ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社 営業本部 ショッパーマーケティングエグゼクティブの繁田知延氏が登壇しました。
エシカル消費を取り巻く最新の状況について語る、一般社団法人エシカル協会代表理事 末吉里花氏
末吉氏は、複数の環境・社会課題が相互に影響し合い、深刻さを増している現状を踏まえ、エシカル消費を取り巻く社会の最新動向について紹介しました。その上で、エシカル消費への認知は広がりつつある一方、選択肢を増やし、行動へどうつなげていくかが今もなお課題だと語りました。
エシカル消費や廃棄物問題の解決に向け、若年層を巻き込んだ施策を展開するGabの山内氏は次のように語りました。「属性や世代で一括りにせず、自分や身近な人が何に心を動かされるのかを想像しながら、商品や発信を考えています。まずは自社がしっかりと利益を生み、目の前の顧客に喜んでもらうこと。その積み重ねが、結果として社会を良くしていくのです」。このように、“売り手良し”“買い手良し”“世間良し”の“「三方よし」の徹底”により、持続可能な事業づくりにつながると説明しました。
ごみ拾いをゲーム感覚で楽しむイベント「清走中」や、Z世代に向けたエシカル商品のリテール事業を展開する株式会社Gab 代表取締役CEO 山内萌斗氏
一方、6年前に社内ベンチャーとして資源循環プラットフォームを立ち上げたユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティングの繁田氏は、その実現に向けて経営層への提案を重ね、新たな取組を実現してきた経験を紹介しました。社内理解を得るため、環境省や自治体の公募事業に選ばれるなど、外部からの評価を積み重ねることが、社内での信頼獲得や事業推進の後押しにつながったと語りました。さらに、異業種との連携やSNSなどでの継続的な情報発信を通じて、多くの仲間を巻き込みながら活動の輪を広げていくことの大切さを伝えました。
消費者参加型のプラスチック資源循環プログラム「UMILE」を主宰する、ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社 営業本部 ショッパーマーケティングエグゼクティブ 繁田知延氏
議論の中では、会場の参加者から「エシカルな取組は他社との差別化や売上につながると感じますか?」などの質問も寄せられました。山内氏は、まずは商品そのものに価値があることが前提であり、エシカルは商品選択の最後の一押しになると説明。繁田氏も、子ども向けのワークショップを通じて家庭内での会話が生まれ、売上につながった事例を紹介しました。
自身も衣食住全般におけるエシカル消費を広める活動を行っている、ファシリテーターのTOKYOエシカルアドバイザー 坂口真生氏
登壇者による議論の締めくくりとして、TOKYOエシカルアドバイザーの坂口氏は「エシカルに気づくことは、社会課題や環境問題に気づくこと。社会課題はアイデアの宝庫です」と語り、会場の参加パートナー企業にワクワクしながら社会課題の解決をデザインしていくことの大切さを呼びかけました。
11月のTOKYOエシカルキャンペーンを、パートナー企業・団体はどう考える?
パネルディスカッションの後半には、2026年11月に一般消費者向けに実施予定の「TOKYOエシカルキャンペーン」をテーマとしたミニワークが行われました。会場の参加者は、「自社ならどのような形で参加・連携できるか」というお題に対し、手元のスマートフォンからアイデアを投稿。集まった回答は、リアルタイムでスクリーンに映し出されました。
参加者からは、学園祭でのワークショップや教育機関との連携など、さまざまな提案が寄せられました。会場ではその一部が読み上げられ、登壇者からも実現に向けた工夫や、他のパートナー企業・団体との連携の可能性についてコメントを返すなど、アイデアを深めるやり取りが交わされました。
企業・団体間の交流から生まれる、新たな共創の可能性
ミニワーク終了後は、パートナー企業・団体同士の交流会も開催されました。名刺交換や自社の取組紹介が活発に行われ、「(貴社の)この活動が気になります」「こんな形で協業できそうですね」といった会話が各所で交わされました。また、自社商品を持参した企業では、実際に商品を手に取りながら、商品の特徴や開発の背景について語り合う光景がみられました。
今年度新たに実施した、パートナー企業・団体によるショートピッチの様子。写真は登壇者の一人、エコグラフィックの黒須奈美子氏
今回のカンファレンスでは、パートナー企業・団体それぞれの実践内容や課題、アイデアが共有され、新たな連携の可能性も生まれました。また、商品やサービスそのものの魅力を前提に、エシカルという価値が選択を後押しすることの大切さも示されました。今回のカンファレンスは、そうした視点や連携の重要性を改めて共有する機会となりました。
当日は、TOKYOエシカルの施策も紹介されました。令和8年度も、パートナー同士の交流機会の創出のほか、一般消費者へ向けた「TOKYOエシカルキャンペーン」や「エシカルアクションコンテスト」、パートナー企業・団体の挑戦を支援する「助成事業」などを実施します。こうした施策を通じて、エシカル消費の実践がさらに広がることが期待されます。