エシカルを“自分ごと”に変える情報発信とは|第2回エシカルカンファレンス・パートナーミーティング実施レポート

2026年210日(火)に、東京ウィメンズプラザで「第2回エシカルカンファレンス・パートナーミーティング」が開催されました。

TOKYOエシカルでは、都とパートナー企業・団体間の連携を強化し、エシカル消費のさらなる展開について​検討することを目的にカンファレンスを開催しています。

今回のテーマは「エシカルな商品におけるこれからの情報発信のあり方」

2025年10月に都民を対象として行った「エシカル消費実態把握アンケート」では、エシカル消費は都民の2人に1人が知っているという結果が出るなど認知度が高まっている反面、実際の購入・利用といった行動にはハードルがある現状です。

そこで、本会では生活者により情報を届け、ハードルを乗り越えるためのアイデアについて議論が交わされました。

本記事では、当日の様子をレポートします。

消費を入り口に、東京から広げるSDGs

古屋留美 東京都生活文化局長

古屋留美 東京都生活文化局長

はじめに、古屋留美生活文化局長より挨拶がありました。289のパートナー企業・団体が参加していることに触れ、「SDGsは東京都政にとって重要課題のため、消費という身近な行動を入り口にしてその達成に貢献したい」と想いを伝えました。

また、これまでのカンファレンスを振り返り「志ある方たちがつながり、新しい取組が生まれていることに感銘を受けています」と言及。令和7年度よりパートナー同士の連携を支援するため、助成事業を始めたことを述べました。

東京都生活文化局消費生活部による取組報告

東京都生活文化局消費生活部による取組報告

続けて、東京都生活文化局消費生活部より、TOKYOエシカルにおける令和7年度の実績報告と、令和8年度の事業計画について説明がありました。

令和7年度の報告では、10~11月にかけて実施した「TOKYOエシカルキャンペーン」の施策内容や、新たに開始したパートナー同士の連携取組を支援する助成事業などに触れ、参画いただいたパートナーへの謝辞が述べられました。

最後に来年度の事業計画を紹介し引き続きパートナーの皆様とともにさまざまな取組を展開していくことを伝えました

憧れや幸せをまとう、エシカルの伝え方

株式会社セキタツ 関龍彦氏

株式会社セキタツ 関龍彦氏

続いて、株式会社セキタツ代表取締役であり、FRaU エグゼクティブ・プロデューサーを務める関龍彦氏による基調講演が行われました。

長年女性誌の編集に携わり、2018年に業界で初めてSDGsの単独特集号を出版した関氏。講演では、雑誌制作を通じて培った「エシカル消費を広める3つのポイント」が語られました。

 おしゃれで明るく、ポジティブな読後感をつくる
女性向けのライフスタイル誌「FRaU」では、難しくなりがちなサステナビリティのテーマも「女性誌ならではの表現で届けることで、読者は日常の延長線上でエシカルを『自分ごと』として捉えることができます。手に取りたくなるビジュアルや言葉を選ぶことが、発信の入り口になります」と生活者に対するコミュニケーションのヒントを紐解きました。

読者目線で、自分の暮らしとつなげる
「私が元気だと、みんなが幸せになる」というキャッチコピーを例に、エシカルな行動と自分自身の豊かさを結びつけることのメリットを提案。「SDGs疲れ」がささやかれている今、ウェルビーイングの視点で伝えることが、受け手の背中を押す鍵になると語りました。

企業と一緒に物語を共創する
「木と森」をテーマにした同誌の特集では、森林保護に関する取組を行う企業と連携し、各社のストーリーを一つの誌面にまとめました。関係者が自らの言葉でストーリーを紡ぐことで、読者のリアリティと共感が醸成されると提言しました。

現場の声と調査結果から探る、情報発信のヒント

(写真左から)株式会社セキタツ 関龍彦氏、株式会社セブン&アイ・ホールディングス 小野真義氏、株式会社UPDATER 高橋京子氏

(写真左から)株式会社セキタツ 関龍彦氏、株式会社セブン&アイ・ホールディングス 小野真義氏、株式会社UPDATER 高橋京子氏

後半は、TOKYOエシカルアドバイザーの坂口真生氏をファシリテーターに迎え、関龍彦氏、株式会社セブン&アイ・ホールディングス サステナビリティ推進室の小野真義氏、株式会社UPDATER 執行役員の高橋京子氏の3名によるパネルディスカッションが行われました。

当日はライブアンケートを活用し、会場からの質問や意見にリアルタイムで答える双方向の対話を実施。また、都民へ実施した「エシカル消費実態把握アンケート」の結果やポイントも共有され、より活発な議論が交わされました。

エシカルを「思想」から「納得感」へ

事前にパートナーから寄せられた質問には「エシカルを正解として伝えるものではなく、お茶会のような対話から気づきが生まれるものと捉えている。不特定多数が無理なく参加できる形で、企業や地域へ自然に広げるにはどうすればよいか」という内容がありました。

株式会社UPDATER 高橋京子氏

株式会社UPDATER 高橋京子氏

これに対し高橋氏は、「エシカルというワードは思想的に強いイメージを持たれがちなため、ハードルを下げ納得感を持って参加してもらうことが大切」と回答。

また、同社が展開する再生可能エネルギーを用いた電力への切り替えを提案する工夫として「選択を後押しするのではなく『そのような選択肢もある』と誘導できる補助線を引く」というコミュニケーションの一例を示しました。

「自分1人では変わらない」という無力感を超えるために

他にも「エシカルな選択は余裕のある人のものだと思われていないか」、「価格が高いと感じた瞬間に価値はどこまで失われるのか」、「自分1人がやっても変わらないという無力感をどう乗り越えるか」という3つの質問がありました。

株式会社セブン&アイ・ホールディングス 小野真義氏

株式会社セブン&アイ・ホールディングス 小野真義氏

小野氏は「環境に対する価値だけでは生活者の共感を得られにくいため、味や健康など複数のバリューを掛け合わせて伝えることが重要だと思います」とポイントを提示。続けて「消費という日々の選択自体が、未来をつくることにつながる流れを知っていただくのが大事だと考えます」と述べ、一人ひとりの購買行動が持つ力を肯定していました。

会場からは「消費者も作り手として巻き込めたら自分ごとになるのでは」という意見もあり、エシカルな取組の担い手を広げる視点に関心が集まりました。

逆風の今こそ、本質の発信を

TOKYOエシカルアドバイザー 坂口真生氏

TOKYOエシカルアドバイザー 坂口真生氏

最後に、坂口氏からメッセージが伝えられました。「世界的な環境問題へ逆風が吹く中でも、歴史を振り返ればこうした局面は繰り返されています。信じることを変えなければ、最後に結果はついてくると思います」とエールを送りました。

そのうえで、「今こそ本質的な発信と事例づくりを続け、パートナーの皆さんとともに化学反応を起こすことによって、東京から、アジアにおけるエシカルの先進事例を生む力になります」と呼びかけました。

新たな連携へ、エシカルの輪をさらに広げて

カンファレンス終了後、参加者同士の交流会が行われました。事前に各社の取組などをまとめた資料が配布され、テーブルごとに会話が弾んだり、名刺交換が行われる場面が随所で見られました。

参加者からは、「エシカルというコンテンツの認知度は低いと感じていたが、少しずつ広まっていることを知りモチベーションが上がった」など率直な感想が寄せられました。

「情報の伝え方」という共通の課題を議論した今回のカンファレンスを経て、参加者それぞれが自社の発信を見直すヒントを持ち帰るとともに、新たなパートナーシップの芽が生まれた1日となりました。

・・・
エシカル消費に関する専門用語を解説しています。
「エシカル用語辞典」はこちら

記事一覧へ