市民とともに育てる「エシカル文化」|八王子市と民間企業がつくる新しい共創のかたち

TOKYOエシカルでは、パートナー企業・団体とネットワークを構築し、エシカル消費を日常にするための社会的ムーブメントを創出するとともに、エシカル消費を実践しやすい環境の整備を目指しています。

パートナー団体である八王子市では、毎年「八王子市消費生活フェスティバル」を開催。 2025年に第58回を迎えたこのイベントは、NPOや市民団体、生活協同組合など多様な団体が主体となって行われています。

TOKYOエシカルパートナー企業で、プラントベースドフード(植物性食品)の企画開発を手掛けるエシカルフード株式会社が同イベントに出展。
今回は両者が連携した経緯 や、イベントの様子などをお伝えします。

「エシカルをもっと身近に」|八王子市とエシカルフードが協業した新たな試み

八王子市 渡邊さん

――今回「八王子市消費生活フェスティバル」にエシカルフードが出展した経緯を教えてください。

渡邊:最初のきっかけは、市のホームページに設置されているお問い合わせフォームから「八王子市消費生活フェスティバルに参加希望」というご連絡をいただいたことでした。普段は市民の方からのご連絡が多いため、民間企業さんからのお問い合わせ には正直驚いたことを覚えています。
その時期は(2024年)12月24日で、チラシの印刷なども終え、準備が進んでいたタイミングだったのですが、「エシカルへの意識をより多くの方に高めていただく良いきっかけになる」と思い、オファーを快諾しました。

エシカルフード株式会社 芦野さん

芦野: 弊社の商品は敷居が高く、訴求する方が限定的になってしまう課題がありました。ただ最近は、エシカルへの意識や関心が少しずつ広がってきており、マイボトルやマイバッグ等、「エシカル」という言葉を知らなくてもすでに皆さん環境に優しい行動をとられているので、私たちの商品もエシカルに繋がる選択肢のひとつだと幅広い方々に知っていただきたいと考えていたんです。

そんなときに、たまたま目にしたのが「八王子市消費生活フェスティバル」の案内でした。実は、弊社代表が八王子市出身というご縁から「ぜひご一緒できないか」と思い、ご連絡させていただきました。

――イベント開催までどのような準備や連携があり、当日を迎えられたか教えてください。

渡邊:開催日まで2か月という限られた期間でしたが、できるだけスムーズに進められるよう電話やメールでこまめにやり取りするよう心がけました。市としても初めての民間企業の参加でしたので、できるだけ多くの情報をお伝えして、しっかりバックアップできるように意識しました。

芦野:担当者の方と密にコミュニケーションを取ることで、限られた時間の中でも 万全の体制で当日を迎えられました。イベント来場者では70歳代 以上の方が多いと事前に伺っており「健康」をフックに、イベントの特徴に合わせた案内を検討していました。
そこで、自社の取組や商品案内を行う際はQRコードだけでなく、高齢の方にも興味を持ってもらえるように、年代別の1日に必要な食物繊維やたんぱく質の摂取量表を資料として配布しました。また、POPを使って視覚的に「大豆ミートが身体だけでなく、環境や動物にもやさしい食材」であることもお伝えましたね。

「楽しく学ぶ」エシカルをより知ってもらうために工夫したこととは

八王子市 森さん

――「八王子市消費生活フェスティバル」当日の様子はいかがでしたか?来場者に配慮した点や楽しんでいただくための工夫があったら教えてください。

森:普段よりも多くの方に来場いただき、大好評となりました。高齢の方だけでなくお子さん連れのファミリー層も多く来られており、八王子市が普段から推進しているSDGsやエシカルに対して、市民の皆さんの関心の高さが垣間見える場となりました。

渡邊:このイベントは毎年「八王子市生涯学習センター クリエイトホール」の5階と9階で開催しているのですが、9階まで足を運ぶ方が少ないことが課題でした。
今回は案内を強化しつつ、来場者の方が楽しみながらエシカル消費などを「学べる」「知られる」ようにスタンプラリーを活用して、9階にも足を運んでいただけるよう工夫をしました。結果的には9階にも多くの方が足を運んでくださり、賑やかな雰囲気になったのがとても印象的でした。

芦野:私たちは9階で出展していたのですが、市の担当者が来場者へお声をかけていただいたこともあり、徐々に来場者が増えていきました。用意した試食も大変好評で、150食分の試食が13時までにあっという間になくなってしまうほどだったんです。
「大豆ミートのイメージが変わった」「大豆特有のにおいがなくて食べやすい」といったお声を多数いただきましたね。今回の出展を通して、より幅広い方にもエシカルな食べ物へのニーズがあると実感できたのは大きな収穫です。

渡邊:参加者の方々からいただいたコメントやアンケートを拝見すると、好意的な感想が多く寄せられていて、市としても今回の協業に大きな手応えを感じました。こうした反応を実際に数字や声で確認できるのは、本当に励みになりますね。

官民協業で生まれた手応え|八王子市が描くこれからのエシカル文化

(写真左から)芦野さん、森さん、渡邊さん

――今回の協業を通して、どのような手応えを感じられましたか?

渡邊:今回、オファーをいただいたことで、民間企業が参加した初の「八王子市消費生活フェスティバル」となりました。この経験を通して、お互いの熱意や思いが一つになった協業という形がまさに実を結んだと感じています。

エシカルフード株式会社の商品

芦野:私たちも幅広い世代の方に大豆ミートの魅力と環境へのやさしさを知っていただきたかったので、参加できて本当に良かったと思います。来場者の中には市販のソーセージなど加工品に含まれる添加物を気にされている方もいらっしゃったのですが、案内を通じて「子ども達も安心して食べられる」という声をいただき、とても喜ばれました。
中には「ぜひ購入したい」とおっしゃる方もいたほどです。こうして直接お客様と触れ合い、手応えを感じられる機会に参加できたことは、私たちにとっても大きな収穫となりました。

渡邊:このイベントを毎年楽しみにしてくださっている市民の方も多く、今回も「楽しかった」という感想をたくさんいただきました。市としても大きな喜びであり、励みになっています。

森: 八王子市では、将来の目指すべき姿とそれに向けて取り組むべき内容をまとめた「八王子未来デザイン2040(にーまるよんまる)」 を掲げており、市の基本構想・基本計画となっています。そのキーワードには「共創」 があり、未来を拓く原動力として、市内の民間団体・企業・大学などと共創しながら、それぞれの特徴を活かした取組をしたいと考えています。
より多くの方々にエシカルの考え方を伝えていくのは簡単ではありませんが、イベントも参加、体験型を充実させ、地域デジタル通貨(市内の買い物等で使用できるデジタル通貨)を取り入れる等、工夫を凝らしながら多くの来場者に楽しんでいただいています。今後も、市では分野・立場を超え、各所と「共創」しながら、エシカル文化の普及に努めていきたいですね。

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エシカル消費に関する専門用語を解説しています。
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