パートナー企業・団体の更なる共創を目指して。TOKYOエシカルカンファレンスの実施レポートをお届け

2024年6月28日(金)に、東京都庁第一本庁舎5階大会議場にてTOKYOエシカルカンファレンスが開催されました。
パートナー企業・団体が集まり、東京都との連携、またパートナー企業・団体同士の連携を強化することを目的に開催された今回のカンファレンス。
73社102名と多くのパートナー企業・団体が集った当日の様子をお届けします。

手を取り合って進めるエシカル消費について語られた第一部

古屋 留美 東京都生活文化スポーツ局長

第一部は、古屋 留美生活文化スポーツ局長による挨拶から始まりました。
今年で3年目を迎えTOKYOエシカルプロジェクトに230を超える様々な業種のパートナー企業・団体が参加していることと併せ、「今年度のTOKYOエシカルはマルシェを皮切りに、都民にエシカル消費の理念を広く知り、実践していただく気運を高めて参ります」と、今後もより一層エシカル消費を推進していく姿勢を示しました。

末吉 里花氏(一般社団法人エシカル協会代表理事)

続いて、ビデオメッセージでコメントを寄せた末吉アドバイザーは、ここ最近エシカルに関する言葉が普及し始めていることに触れ、「関わっている企業・団体が実に楽しそうに、ポジティブに動いていることが理由ではないか」とエシカル消費推進の現在について語りました。
また、以前ご自身が講演のために訪れた高校で、学生から「大人たちが破壊した地球環境の影響を最も受けるのが、自分たちのような責任のない若者であることに納得がいかない」といった言葉をうけたことから、「だからこそ、私たち大人が率先してアクションを起こしていかなければならない。そして、楽しんでアクションを起こしている姿を見せていくことが大事」と、手を取り合って前向きにアクションを起こすことの大切さを伝えました。

一般社団法人東京ヴェルディクラブと株式会社ドールの連携取組事例

一般社団法人東京ヴェルディクラブと株式会社ドールのプレゼンテーションの様子

続いて、パートナー同士の連携事例について、4者にご登壇いただき、取組についてご紹介いただきました。

一般社団法人東京ヴェルディクラブと株式会社ドールは、2023年に開催されたイベント「NEW ENERGY TOKYO」のTOKYOエシカルゾーンで、ブースが隣り合い、相互の取り組みを知ったことが協業のきっかけになりました。
16競技からなる総合クラブとして子どもたちを中心に多様なスポーツの体験機会を提供する東京ヴェルディクラブと、食品ロスの問題や、フルーツを通じた健康づくりの重要性を次世代に伝えるためのタッチポイントを探していたドールとでニーズが合致したとのことです。
東京ヴェルディクラブが実施するマルチスポーツイベントでの栄養価の高いバナナを参加者に配布した「スポーツ」×「食育」の取組みを第一弾として、美味しく安全に食べられるにも関わらず様々な理由から仕方なく捨てられてしまうバナナを有効活用するドールのプロジェクト『もったいないバナナ』を、「子どもたちに様々な競技に触れて、好きなスポーツを見つけてもらいたい」という理念のもとで東京ヴェルディクラブが開催するマルチスポーツスクールの子どもたちに配布し、バナナは皮に多少キズなどがあっても問題なく食べられることや、スポーツ後の栄養補給にバナナが適していることなどを啓発しました。
「運動後すぐに栄養・カロリーを取ることの重要性に加え、身近な食べ物をきっかけに食品ロス削減について考える機会を作ることで、参加した子どもや親子に両社のメッセージを共同で伝えることができた」と振り返りました。

ミニストップ株式会社と株式会社バイオマスレジンホールディングスの連携取組事例

ミニストップ株式会社のプレゼンテーションの様子

店舗で販売されるソフトクリームにつけるスプーンを、石油系プラスチックのものから小麦等で作られた『食べるスプーン』に変更するなど、プラスチック削減に取り組むミニストップ株式会社。
フラッグシップ店舗のオープン記念品としてカトラリーを配布することになった際に、TOKYOエシカルを通じて情報交換をしていた株式会社バイオマスレジンホールディングスが持つ環境配慮型の素材の使用を思いつき、協業に至ったとのこと。
古米や破砕米などの廃棄されてしまうお米をアップサイクルして作られるバイオマスプラスチック「ライスレジン」を使ったカトラリーは好評で、配布はあっという間に終了したそうです。配布時には、お客さまへ環境に配慮されたカトラリーであることの説明も行われました。
「末吉氏のコメントにも『楽しく』という言葉があったが、自分たちも楽しく、無理なくやっていくことがエシカル消費を続けるきっかけになると考える。食品流通業として、皆さまの生活に寄り添いながらエシカル消費ができるような、助けになるような活動を続けていきたい」と、これからの取り組みについて語りました。

株式会社山櫻と株式会社RINの連携取組事例

株式会社山櫻のプレゼンテーションの様子

さまざまな未利用資源を混ぜ込んだエシカルな紙製品の先駆けである株式会社山櫻ですが、発売当初は印刷の品質を損なう恐れがあるのではないか?との懸念を受け『ゴミが混ざっている用紙』として位置づけられるのが当たり前だったそうです。
また、廃棄予定の花に新たな命を吹き込む株式会社RINは、クリスマスなどの記念日を過ぎると一日で花の価値が変わってしまう花卉業界の常識にショックや疑問を抱いており、『業界にある”あたりまえ”に疑問を感じ、世の中のためになる本質を考える』という共通した想いを持っていました。
そんな2社の協業で作られたドライフラワー(ロスフラワー®)を混ぜ込んだ紙を使用したギフトボックスは、フラワーロス問題を解決したいという目的を遂げただけでなく、その華やかさから普段エシカルに関心のない層へのアプローチにも繋がりました。
自社の協業事例を踏まえ、「株式会社RINと自社の間に似たような背景や目指す取り組みに近いものがあったように、こういった取り組みを行う中で共感を持つ方とのつながりが広がっていくと強く感じた。TOKYOエシカルのパートナー企業・団体間における共通した価値観や、協業・共創のシナジーはさらに起こるのではないか」と語りました。

第一部の最後には、東京都生活文化スポーツ局消費生活部より、TOKYOエシカルの昨年度の事業報告と今年度の活動予定について説明が行われ、「パートナー企業・団体と都で協力し合い、都民のエシカル消費の気運を高めていきたい」と締めくくりました。

パートナー企業・団体の幅広い交流が見られた第二部

交流会の様子

第一部終了後は、来場いただいたパートナー企業・団体同士での連携のきっかけとしていただくため、交流会を行いました。第一部でのパートナー企業・団体の連携事例に関するプレゼンテーションに刺激をうけてか、交流会の終了間際まで多くの方々が熱心にお話しをされ、業界を問わずさまざまな方同士での会話が見られました。
お互いの取り組みについて深く共感する姿や、談笑する姿も見られ、TOKYOエシカルをきっかけに更なる連携が生まれることに期待が高まる一日となりました。

令和6年度 TOKYOエシカルカンファレンス<第1回>の様子を動画でご視聴いただけます。

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