「物々交換」から生まれる自由で楽しいつながり。東京にファッション・スワップを根付かせるHomage Tokyoとは?

ファッションとのエシカルな付き合い方について、TOKYOエシカルでは、適量生産やアップサイクルなどさまざまな角度から取り上げてきました。今回はファッション・スワップ、つまり洋服交換会というかたちで循環消費の仕組みを生み出している「Homage Tokyo」のプラディ・ハリギアントさんに話を聞きました。

参加のハードルを下げる、自由なルール

アメリカ生まれで2013年に留学生として初めて日本に来たというブラディさんは、当時ファッションにお金を使う余裕がなく悩んだ経験から、「お金がなくてもおしゃれを楽しみたい」という人の役に立ちたいと、Homage Tokyoを立ち上げました。そうした思いもあって、Homage Tokyoが開催するイベントには交換条件等に関する明確なルールがなく、参加者が自由に洋服を寄付し、持ち帰ることができるようになっています。

プラディ・ハリギアントさん

「私が生まれ育った街では、リサイクルショップやヴィンテージショップはとても身近な存在で、物の価値はその価格よりも、歴史や質にあるとする文化がありました。また、日ごろからガレージセールやリサイクルイベントをやって不要なものを譲りあう習慣が根付いていました。東京は物を置いておくためのスペースが限られていて、引っ越しをする人も多いので、ものを手放したい人は多いはずです。実際にイベントを始めてみると、参加者の皆さんだけではなく寄付する側の人たちにもとても喜んでもらえました。

どんな経済状況の人でも参加できるように、参加費は500円です。今後さらに大きな会場で開催ができたとしても、この価格設定は変えないつもりです。集まったお金は、ボランティアスタッフへの食事代や交通費などに充てています」

Homage Tokyoは参加方法も自由。イベント当日に不要な服や物を持参して寄付をし、並んでいるアイテムのなかから気に入ったものがあれば好きなだけ持って帰る、という人もいれば、会場には行かず郵送で寄付だけをしたり、寄付をしないでアイテムを持って帰るだけの人もいます

思いや知識をも「交換」する、文化交流の場に

経済状況に関係なくおしゃれを楽しむ機会を提供することに加えて、プラディさんはイベントを通じてものや人に対して敬意を払う精神を広めていきたいと考えているそうです。

「Homage Tokyoの『Homage(オマージュ)』には敬意や尊重という意味があります。私たちが扱っているものは、持ち主にとって不要になってしまったとはいえ、本来はわざわざ時間とお金を使って作られ、買われたものです。その思いや歴史に敬意を払い、大切にしていこう、というメッセージを伝えたいのです」

Homage Tokyoに並ぶ洋服や小物の一部には、そのアイテムが辿ってきたストーリーのメモが貼られています。どんなシーンで購入されたものなのか、またはどんな理由で手放すことになったのかといった多様な背景を伝えることで、新たな持ち主にその思いがつながれていきます。

イベントは東京都内のカフェやコミュニティスペースで定期的に開催されています。写真は渋谷のFabCafe Tokyoで開催された際の様子

Homage Tokyoで生まれた人々のつながりは、単にものを交換するという関係に留まらず、次のステップへと変化を見せています。

「イベントを発足した当初は衣服交換会というかたちでスタートしましたが、参加者や寄付品が増えていったことで衣服に限らずさまざまな物を交換する会も開催できるようになりました。年末に開催している『Spectacular Swap』では、洋服以外の日常商品も受け入れています。そんななかで、直近のイベントではリメイクやアップサイクルのワークショップも開催し、『寄付をする』『買い物をする』だけではなく、アイデアやスキルを交換しあう場所としてもみなさんに喜んでいただいています。さらに、外国籍の参加者が大半だった初期のころから、最近では日本人の参加者が半数ほどを占めるようになり、私たちの取組が少しずつ受け入れられていることを感じて、とても嬉しく思っています。

日本には優れた技術を持ったクリエイターがたくさんいます。ワークショップでは、SNS上で見つけたクリエイターさんにお声がけをしてプログラムをお願いすることもあるのですが、彼らから学ぶことは本当に多いです。そういったコラボレーションも重ねていくことで、イベントが単なる物々交換会ではなく文化交流の場になっていってほしいと考えています」

ものに対する敬意を見つめ直し、そこに宿る思いを循環させていく。無駄な消費を減らし、資源を有効活用できるだけでなく、ものを通して人と人のつながりを育んでいく場として、今後さらに発展していきそうです。

Instagram:https://www.instagram.com/homagetokyo/?hl=ja


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