話題の新名所、麻布台ヒルズ。エシカル目線でその魅力をレポート!

2023年11月24日(金)、虎ノ門・麻布台エリアにオープンした「麻布台ヒルズ」。”グリーン&ウェルネス”がテーマのこの新たな複合施設は、設備において自然との調和や環境負荷の抑制が意識され、ショップやレストランでは心身を健康に保ち、豊かにしてくれるようなコンテンツやサービスが数多く揃えられているなど、独自の魅力に溢れています。注目の新名所、麻布台ヒルズをTOKYOエシカル独自の目線で見ていきましょう。

徹底した脱炭素化と、緑いっぱいの屋外エリア

麻布台ヒルズの”グリーン”な側面として特筆すべきは、脱炭素への取組です。麻布台ヒルズでは、竣工時から再生エネルギーが100%利用され、稼働後も共有部、専有部問わず「RE100(※)」に対応していく想定でビル全体での再エネ転換を進めています。さらに、エネルギー効率を向上させるための技術も積極的に導入しています。その一例として、テナント各店のエネルギー使用量を分析・可視化するツールによって節電を促進し、空調・照明を気候や時間、人流に即してAIが自動調節しエネルギー消費を低減させるといった機能が備わっています。

※ RE100:「Renewable Energy 100%」の略称。企業が事業において消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的なイニシアチブ。

さらに、”グリーン”なエネルギー利用だけではなく、施設内の屋外エリア一帯には、約24,000㎡もの緑地が整備され、約320種の植物が植えられています。中央広場から望む斜面緑地には果樹園と菜園が併設され、温州ミカンやブルーベリーのほか、多種多様な植物が育てられています。

飲食店エリアは、オーガニック&ヴィーガン対応でおいしい、が当たり前

麻布台ヒルズはトップクラスのレストランやカフェ、スイーツを提供する飲食店が集結しており、新たな食の体験スポットとしても注目を集めています。そのなかには、オーガニックやヴィーガンに対応したメニューを揃え、食品ロス削減に積極的な店舗も出店(※)しています。ここでは、その一部の店舗を紹介します。

※ テナントごとの廃棄物を可視化する機能も追加導入し、ビル全体の廃棄物量削減を促進する取組も実施予定

ショウダイビオナチュール/自然派素材スイーツ・洋菓子店

『ペタルマニフィーク』6,400円(税込)

ガーデンプラザB B1Fにある「ショウダイビオナチュール」は、パティシエ自らが全国各地の自然派素材生産者を訪ねて選んだ素材を使用したスイーツを販売しています。

なかでも、美しい色合いと繊細な花びらのようなデザインが目を引く『ペタルマニフィーク』は、同店とメキシコの会社が共同開発した乳製品不使用のチョコレートを使用したヴィーガン対応でありながらも、乳製品を使ったもの以上に豊かな風味と味わいを実現した一品。他にも、グラスフェッドバターを使用したパウンドケイクやサブレ、​​自然派素材を使ったアイスクリームやジェラートなどがラインナップされています。

ラベイユ/蜂蜜専門店

ラベイユ店内、量り売りコーナー

同じくガーデンプラザB B1Fの「ラベイユ」は、自社養蜂場の蜂蜜を含む世界12か国80種類以上の蜂蜜や蜂蜜で作った食品やお菓子などを揃えています。同店の商品は、店頭に空き瓶を持参することで量り売りでの購入も可能となっており、容器の削減に取り組んでいます。

また、今回の出店にあたって、麻布台ヒルズを望むアークヒルズのガーデンで都市養蜂をスタートし、そこで収穫した蜜を店舗限定商品の『東京 麻布のはちみつ』として販売しています。

アルケミー/プラントベースレストラン

アルケミー店内

タワープラザ4Fにオープンしたのは、世界トップレベルのヴィーガンレストランとして知られるバリ島ウブドのレストラン「アルケミー」。なんとこの麻布台ヒルズ店が海外一号店です。

プラントベースのメニューは、肉、魚、卵、乳製品、グルテン、白砂糖、化学調味料を一切使っていません。豆腐を使ったヴィーガンエッグや、ジャックフルーツを使ったチキンなどをトッピングとして選ぶことができるサラダバーや、カスタマイズできるTEISHOKUバーのほか、オリジナルローチョコレートやココナッツミルクで作ったソフトクリームなどのデザートも多くの種類を取り揃えています。また、食品ロス対策にも今後積極的に取り組んでいくとしています。

Tokyo Juice/フレッシュジュースバー

Tokyo Juice店内

タワープラザ 1Fの「Tokyo Juice」は、オーガニックの野菜と果物を使った栄養満点のジュースやスムージー、アサイーボウルなどを提供しています。人気商品の『クレンズジュース』はガラス瓶で提供し、飲み終わった後の空き瓶は回収して1ボトルにつき100円をキャッシュバックしています。さらに、野菜などをジュースにする際に出てしまう絞りカスを使ったスイーツやカレーのレシピの開発も進行中とのことです。

ファミマ!!麻布台ヒルズ店に並ぶエシカル雑貨「KURUMIRU」

ファッションやコスメ、雑貨、書店など、ショップエリアも充実している麻布台ヒルズですが、エシカル視点で注目すべきは、タワープラザ4Fにある「ファミマ!!麻布台ヒルズ店」です。同店には、コンビニとしては珍しい、環境や人に配慮し持続可能な方法で作られている商品を展開する「SDGs RELATED PRODUCTSコーナー」が設けられています。

ファミマ!!麻布台ヒルズ店 店内

そこに並べられているアイテムのなかでも目を引くのが、バラエティショップ「KURUMIRU(くるみる)」の商品。東京都福祉局が運営するKURUMIRUは、障害のある方々が作った手づくり品を扱うショップで、今回は錦糸町マルイ店や伊勢丹立川店、都庁店といった直営店以外では初となる常設販売となります。

KURUMIRUの商品

手づくりのためにそのほとんどが一点ものであるというKURUMIRUの商品は、デザイン性も高く、熱烈なファンが多いといいます。

また、製作・販売のシステムは、障害のある作り手の方々に工賃として還元されるような仕組みになっているそうです。KURUMIRUを担当する東京都福祉局の篠和子さんは、事業のコンセプトを次のように説明してくれました。

KURUMIRUの商品を作っているのは障害のある方たちです。「KURUMIRUは、『就労継続支援B型事業所(※)』で作られる自主製品の魅力を発信し、事業所に通う方々の工賃が向上することを目的に2015年にスタートしました。昨年にはネット通販も開始し、販売した商品の収益を事業所にお支払いしています」

※ 就労継続支援B型事業所:一般企業で雇用契約を結んで働くことが困難な障害のある方が、事業所で生産活動(仕事)を行い、その対価として工賃(賃金)を得ています。東京都には令和5年4月現在で約900か所あります。

KURUMIRUでは、事業所の主体性を第一に、作り手の方々の「こんな製品を作りたい」という声やアイデアなどを活かした商品企画をはじめとして、商品仕様、コスト管理、販路についての助言など幅広く支援しているそうです。

ファミマ!!麻布台ヒルズ店には、直営店や催事で人気の商品や季節に合わせた商品を厳選して展開。取材(当)時はクリスマスや「和」をテーマにしたアイテムなどが並んでいました

KURUMIRUの商品の一部は、端材の革や、着られなくなった和服の布などを再利用して作られています。再利用される素材は、事業所が集めることもあれば、事業所や東京都福祉局に企業から提供の相談が寄せられることもあるのだとか。

カラフルな端材の革を組み合わせて作られた、ネコやウサギをモチーフにしたキーホルダー

2023年で8年目を迎えたKURUMIRUですが、購入されたお客様の声を取り入れ、地道に商品の改良・販売を続けてきたことで、その魅力と意義が徐々に伝わってきていることを実感しているといいます。

「有り難いことにリピーターの方も多くいらっしゃいます。現在約150の事業所が出品していて、事業所ごとに個性があり、お客様はそれぞれの違いを楽しんでくださっているようです。直営店でのフェアや期間限定のイベント出店などでは、会期中に売り切れてしまうアイテムもあるほどです。

麻布台ヒルズにあるコンビニエンスストアという、様々なお客様が多くいらっしゃる場所でKURUMIRUの商品が展開されることは、事業所の作り手さんたちの励みにもなっていると思います。自分たちで考えて、自分たちの手で作った商品だからこそ、売上が工賃に反映されることは彼らのモチベーションに繋がり、クリエイティビティとして発揮されるのです」(篠)

商品自体の魅力と、その背景にあるストーリーで多くの人の心を惹きつけるKURUMIRUのアイテム。みなさんもぜひ実際に店頭に足を運び、その魅力に触れてみてください。

公式サイト:https://kurumiru.metro.tokyo.jp/ 

KURUMIRUを担当する東京都福祉局と運営事務局の皆さん

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