いくつ知ってる? 認証マークから学ぶ、世界の環境課題

エシカルな商品を買いたいけれど、何を基準に選べばいいのかわからないと思った時に参考にして欲しいのが「認証マーク」です。

認証マークがついている製品は、第三者機関が公正・公平な立場で安全性や品質などを審査し、人・社会・環境などに配慮されていることが証明されています。

もちろん、認証マークが付いているものだけがエシカルな商品というわけではありませんが、そうした認証制度が必要とされる社会的な背景についても知っておけば、商品の選び方が変わってくるはずです。ここでは、分野ごとに代表的な認証マークを紹介します。

▼オーガニック認証

農作物を害虫などから守り、一定の品質を保持するために使用される農薬ですが、不適切な使用がなされた場合、農作物の生育や安全性が脅かされるだけでなく、土壌などの周辺環境へのダメージとなり、生物多様性を損なう原因となってしまいます。農薬に頼らず栽培されるオーガニックの農作物を選ぶことは、農家への応援となり、結果として私たちの健康だけでなく環境も守ることにつながります。スーパーで食料品を手に取る時、化粧品を買い換える時などにぜひ参考にしてみてください。

有機JASマーク

JAS法で定められた基準で生産・加工されている食品に与えられるマークです。農薬や化学肥料などの化学物質に頼らず自然の力で生産されたことを示しています。有機JASマークの認証があることで、生産者は「有機」や「オーガニック」と表示することができます。

JAS法(農林物資の規格化等に関する法律):飲食料品等が一定の品質や特別な生産方法で作られていることを保証する

USDA(ユーエスディーエー)マーク

アメリカ農務省が定めるオーガニック認証マークです。有機栽培からなる原料を95%以上使用している製品を対象とし、作物を栽培する土地や工場などにも厳しい基準を設けていることから、世界で最も厳しい認証の1つとも言われています。

 

COSMOS(コスモス)認証

オーガニックコスメの世界基準認証。いくつかある認証団体のうち、日本ではフランスを本部とする国際認証機関「ECOCERT(エコサート)」のコスモス認証がよく知られています。生物多様性や環境に配慮するためのコスモス基準を設け、その基準に沿った原料の使用や、植物原料の95%以上をオーガニックとすることなどを求めています。

▼海洋のための認証

日本の豊かな食文化は海の恵みによって支えられています。しかし、海洋プラスチックゴミによる汚染や地球温暖化の問題だけでなく、適正水準を超える過剰な漁獲が続くことで、水産資源が枯渇していく可能性があるのです。持続可能な水産業のために作られた認証マークを知ることで、私たち消費者は海を守るため新たな選択肢を得ることができるのです。

ASC

社会や環境に配慮し、責任を持って生産された養殖水産物を認めるラベルです。効率的な養殖業の急成長が、生態系のバランスを崩しかねないとして生まれた国際的な認証制度で、生態系や水質の保全、野生個体群の多様性維持など7つの原則を定め、細かく管理しています。

MSC「海のエコラベル」

水産資源と環境に配慮した持続可能な水産漁業として、MSC認証を取得した漁業で獲られた水産物に表示されるマークです。養殖業に対する認証がASC認証であるのに対し、MSC認証は天然の漁業が対象の、水産資源を守るために作られた国際的な認証制度です。

MEL

一般社団法人マリン・エコラベル・ジャパン協議会が管理している世界に認められた日本発の水産エコラベルです。水産資源や生態系などに優しい漁業や養殖業者、その水産物を使用して流通・加工する事業者を認証し、日本の美しい海を守りながら魚食文化の継承を目指しています。

▼森林のための認証

世界の森林面積が過去30年の間に大幅に減っていることはご存知でしょうか。その減少面積はなんと1億7800万haで、これは日本の国土面積の約5倍にあたります。森林の役割は、生態系や土壌の保全、地球温暖化の抑制など多岐にわたります。森林を守ることは、私たちの未来を守ることにもつながっていくのですここでは、トイレットペーパーなどの紙製品や洗剤など日用品に多い森林のための認証を紹介します。

FSC®

適切な管理がされている森林から収穫された木材、およびFSCの規格で認められた原料を使用した木材製品や紙製品に与えられる国際的な認証マークです。森林を守ることだけにとどまらず、労働者の権利や地域社会への配慮など、広い視点での審査基準を設けています。

RSPO

アブラヤシを原料としたパーム油は、生産性が高く価格が安いことから消費量が増加している一方で、熱帯雨林の伐採が問題視されています。RSPO認証は、熱帯雨林とそこに生きる人や動物たちの生活を守り、持続可能なパーム油の生産と利用を促進するためのものです。

▼生産者のためのマーク

大量生産・大量消費のシステムの裏には発展途上国の低賃金労働や児童労働などの問題が潜んでいます。極端に安く売られているような商品には適正な労働の対価が支払われていない可能性があるのです。人種や性別、文化的な背景などに関わらず、誰もが平等に人間らしく働けるよう、私たち一人ひとりが商品の背景に関心を持つことも大切です。ここでは、主にコーヒーやチョコレート、フルーツなどの食品でよく目にするマークを紹介します。

国際フェアトレード認証ラベル

国際フェアトレード認証は、開発途上国の原料や製品が公平な条件で取引されていること等を認証する制度です。生産者への適正な価格の支払い、労働環境保護、農薬使用規制、等の国際フェアトレード基準をクリアした製品には認証ラベルがついています。

レインフォレスト ・アライアンス認証マーク

森林の保護、生産者と農園労働者の人権保護や生活水準の向上などを目的とし、そのための基準をを遵守する農園の作物が使われている製品であることを示しています。シンボルマークのカエルは、健全な環境の指標となる存在です。レインフォレスト・アライアンスでは、人と自然が調和の中で繁栄する健全な世界の創造を使命とする同団体のシンボルとしています。

▼衣類のためのマーク

洋服が私たちの手元に届くまでに、原材料の調達から販売の過程までがとても長く複雑なため、サプライチェーン全体を追跡可能なものにする「トレーサビリティ」を求める動きが活発化しています。消費者にとって今まで見えにくかった生産過程が、認証マークによって明確化され、安心して良質な商品を選ぶことができるのです。

GOTS

オーガニック繊維製品の認証マークです。ウールやコットン、絹などの原料のうち70%以上がオーガニック繊維であること、さらに繊維の収穫から最終の流通の過程までが環境的・社会的に配慮されていることが求められます。

RWS

ウール製品の製造工程において、倫理的に責任持って作られていることを証明する国際認証です。羊の飼育方法や羊が育つ土壌の環境に配慮された羊毛農家であること、アニマルウェルフェアの観点においても責任ある管理がなされていることなど、すべての製造工程におけるトレーサビリティを証明します。

GRS

リサイクル製品を増やすことを目的とした国際的な認証です。この認証が付くことは、リサイクル成分の含有率が50%以上であることを意味します。これまで判別しづらいとされてきたリサイクル成分を適正な方法で公正に検証・審査しています。

▼その他のマーク

そのほかにも、買い物をしていると見かける認証マークは数多くあります。代表的なマークの一部を紹介します。

エコマーク

環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた商品につけられる日本国内の認証制度です。その評価は生産過程やリサイクルなどの一部分だけを見るのではなく、商品が「生産」されてから「廃棄」にわたるまでの一連の流れ(ライフサイクル)を通して審査されます。

伝統マーク

経済産業大臣が指定した技術・技法・原材料・産地でつくられた伝統的工芸品のシンボルマークです。地域に根付き継承されている技術や技法で製作された伝統的工芸品を選ぶこともエシカル消費につながります。大量生産ができず、伝統的な技術や技法が必要とされる工芸品を広め、次世代に引き継いでいくためにも私たちが知っておきたいマークと言えます。

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