子どもたちと食品ロスを考える。共立女子大学で行われたTOKYOエシカル体験ツアーをレポート

TOKYOエシカルが主催する、小・中学生とその保護者を対象にした「TOKYOエシカル体験ツアー」。2023年12月23日(土)に開催された今回は、「大学生と一緒に食品ロス・地産地消について考えよう」と題して、共立女子大学・共立女子短期大学の先生や学生とともに食品ロスについて学びました。

まずは「エシカル消費」と「食品ロス」の基礎知識から!

宮城県南三陸町や長崎県五島市など、全国各地の自治体と連携しながら、各地域の課題解決や貢献につながる活動を行っている共立女子大学・共立女子短期大学。今回は、そんな社会活動に積極的に参加している学生たちがファシリテーターとなり、小・中学生の参加者に「エシカル消費」と「食品ロス」に関する知識をわかりやすく伝えました。

今回参加してくれたのは、小学校低学年から中学生までの計15人の子どもたち。年代ごとに4つのグループに分かれて、まずは自己紹介からスタートします。

緊張していた子どもたちも、自分の好きな食べ物や苦手な食べ物について話すうちに打ち解けていきます

続いて、東京都職員の福田さんからエシカル消費についての説明が行われました。地球温暖化による海面上昇の影響で地面から海水が湧き出しているツバルの現状や、2050年には魚よりも海洋ゴミの量のほうが多くなると言われていることなど、今、地球が直面している問題を解説。「今、地球は大きな課題を抱えていますが、社会や人に優しい行動をとることで少しずつ改善されていきます。例えば、買い物をする時も、自分のことだけでなく、自分以外の誰かのことや、社会、環境に優しいかどうかを考えることが大切です」と、エシカル消費の本質を伝えました。

地球が直面している問題について、みんな真剣な表情で説明を聞いていました

エシカル消費について学んだあとは、共立女子大学社会連携センターの大石裕理子さんによる食品ロスについての説明に移ります。

食品ロスとは、本来食べられるにもかかわらず捨てられてしまう食品のこと。あわせてよく耳にする「食品廃棄物」は、食品ロスに加えて、魚や肉の骨など食べられない部分も含む言葉です。

「食品ロス」は日本だけでなく、世界的に大きな問題になっており、1人あたり年間42kgの食品ロスが発生しているという現状があります。「この量は、1日にお茶碗1杯のごはんが捨てられているのと同じ計算です」と大石さんが説明すると、子どもたちは驚きの表情を浮かべます。

ぬいぐるみをジャガイモに見立て、捨てられてしまうジャガイモとそうでないジャガイモの違いについて解説する大石さん

クイズで考える、身の回りにある食品ロス

続いて、タブレット端末を使ったクイズでさらに学びを深めていきます。「食品ロスとは何のこと?」という問題から始まり、「外食の時に食品ロスを防ぐポイントは?」「お買い物の時に、食品ロスの原因になる行動は?」「お家で食品ロスが出る原因第1位は?」など、普段の行動を省みるきっかけになるようなクイズに答えながら、食品ロスが身近な問題であることを実感していきます。

手慣れたタブレット操作でクイズに挑戦していきます

食品ロス削減のためにできることを書き出すビンゴゲーム

クイズの次に行われたのは、この日学んだことを日々の実践に繋げていく「食のmottainaiビンゴゲーム」。「どうやったら食べ物のゴミを減らせるのか、食品ロスを減らせるのか」というお題に対するアイデアをビンゴカードに9個書き出し、一人ずつアイデアを発表していきます。同じ内容のアイデアがあったら丸をつけ、ビンゴを目指します。

「アイデアが浮かばなかったら大学生のお姉さんたちや、同じグループのお友達と相談しましょう」という大石さんの声かけのもと、アイデア出しがスタート。迷いなく筆を走らせる子、じっくり考えて書き込んでいく子、それぞれのペースでカードを埋めていきます。アイデアに悩む子がいたグループでは、ファシリテーターの学生が「お母さんやお父さんが食べ物を買いに行く時に、どんなことに気をつければ、食べ物を無駄に捨てなくて済むかな?」「みんなが毎日食べる給食の時に何かできないかな?」などさまざまな角度からヒントを投げかけます。

みんなで食品ロスを減らすアイデアを考え、ビンゴカードに記入していきます

全員がビンゴカードを埋め終わると、1人ずつカードに記入したアイデアを発表していきます。

「余った食材を寄付する」「おかわりをして、クラスみんなで給食を食べ切る」「好き嫌いをなくす」「消費期限や賞味期限を見てから食品を買う」「自分の食べられる量だけのごはんを作る」など、家族やクラスメイトと一緒に実践するためのアイデアのほかに、「野菜を見た目で判断しない」「正しい方法で食材を保存する」「食べきれない食材の保存方法を考える」といった大人顔負けの鋭いアイデアも飛び出しました。

1人ずつアイデアを発表し、ビンゴを目指します

参加してくれた子どもたち全員がビンゴゲームのアイデア発表をして、すべての体験プログラムが終了。ファシリテーターを務めた学生たちは「今日考えてもらったアイデアは小さなことかもしれないけれど、みんなでやれば大きな力になるので、今日からできるエシカル消費について実践してみてください」とエールを送りました。

ビンゴを達成した参加者にはオリジナルグッズなどをプレゼントしました

自分なりの考え方を身につけるきっかけに

プログラム終了後、参加者の子どもたちからは次のような感想が上がりました。

「エシカル消費については学校で勉強したことがありましたが、今日の体験ツアーに参加したことでより理解を深めることができました。食べきれないものをうまく保存することがフードロス問題の解決に繋がることを知ったので、上手な保存方法を考えていきたいです」(中学1年生 男子)

「(同じグループのメンバーと)とたくさん意見を話し合えて楽しかったです。買い物をしすぎるだけで食べ物が捨てられちゃうことがあるんだなとびっくりしました。余分な買い物をしないように気をつけたいなと思いました」(小学2年生 女子)

また、保護者のみなさんからも「幅広い年代の子どもたちと交流しながら学ぶ経験は学校ではできないことだと思います」「わかりやすい解説で、大人も改めて学ぶことができ、子どもと話すきっかけになるなと思いました」といった感想が寄せられました。

終了後、保護者と一緒に体験ツアーで学んだことを振り返りました

今回のプログラムの内容を考案した大石さんは、「大学の取組事例からエシカル消費の理解が深まり、一人ひとりの行動が変わっていくきっかけになれば嬉しいです。『食のmottainaiビンゴゲーム』では、自らアイデアを考えて、用紙に記入し、発表してもらうというプロセスを経ることで、食品ロスについての自分なりの考え方が身に付きます。今日は、参加者のみなさんがすごく丁寧に考えてくれたことがうかがえるようなアイデアがたくさん出てきたことが印象的でした」と、体験ツアーを振り返りました。

また、ファシリテーターを務めた学生たちからは「私たちには思い付かないようなアイデアが子どもたちからたくさん上がり、新たな気づきをもらいました。今後は食品ロス以外の分野も取り上げて、子どもたちと一緒に学んでいけたらと思います」といった声も上がりました。

子どもたちが自ら考え、エシカル消費や食品ロスのためのアイデアを生み出した今回の「TOKYOエシカル体験ツアー」。参加者全員がそれぞれに新たな気づきを持ち帰る有意義な時間となりました。TOKYOエシカルでは、今後も、エシカル消費について多くの人が考え、行動を起こすきっかけになるような体験や機会を提供していきます。

今回参加してくれた子どもたち。学校とは違った環境でも、初対面のメンバーとすぐに打ち解けて笑顔で楽しむ様子が印象的でした

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